
会話形式の議事録の書き方とは?メリット・デメリットや注意点を解説

議事録は、会議で話し合われた内容を記録して、後から見返しやすくするのに重要です。特に発言内容を時系列順に記載する会話形式の議事録は、議論のニュアンスや意思決定の背景を理解しやすくなるため、会議の温度感を伝えるのに向きます。
この記事では、会話形式の議事録のメリット・デメリットや向いているシーン、書くときの注意点について詳しく解説します。議事録を書くときに、会話形式と要点整理形式のどちらがよいのか迷っている方、会話形式の議事録の書き方が分からない方は、ぜひ参考にしてください。
1. 議事録の書き方には会話形式と要点整理形式がある
議事録の書き方には、会話形式と要点整理形式があります。
会話形式(時系列形式) |
会議中の会話内容をそのまま詳細に記録する形式です。発言者ごとに名前や役職を明記し、実際の発言内容を時系列に沿って逐一書き起こします。 議論の流れやニュアンスを後から再現するのに有用で、意思決定の背景や議論のプロセスを詳しく把握したい場合に適しています。 |
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要点整理形式(要約形式) |
会議の議題や重要な部分、決定事項、次のアクションプランなど要点を簡潔にまとめる形式です。具体的な発言や発言者に焦点を当てるのではなく、議論の結果や結論を中心に記録します。 情報を箇条書きや短い文章で整理するため、読み手が短時間で必要な情報を把握できます。素早く情報共有したいときや、大人数に会議内容を共有したいときに向いています。 |
会議の目的や規模によって、向いている形式は異なります。例えば、詳細な議論の経緯を記録しておく必要があるプロジェクト会議では会話形式が有効です。一方、結論や次のステップだけを共有したい定例会議では要点整理形式が適しています。
以降では、会話形式で議事録をまとめたいときに役立つ内容を解説します。
2. 会話形式で議事録を書くメリット・デメリット
会話形式の議事録は、議論の流れを把握しやすく、情報を追跡しやすいメリットがある一方、要点が伝わりにくく、作業時間がかかりやすいデメリットがあります。会話形式の議事録を作成する際のメリットとデメリットについて詳しく解説します。
2-1. 会話形式で議事録を書くメリット
会話形式で議事録を書くメリットは以下の通りです。
- 発言者が分かりやすい
会話形式の議事録は、発言者の言葉を最低限の編集しかせず、可能な限りそのまま記録するため、誰がどのような意見を述べたかがはっきりと分かります。発言した参加者全員の考え方や立場、責任の所在を確認できるでしょう。また、会議で出された主要な提案や反対意見についても記録されるため、初動の段階では計画に反映しきれなかった意見を後から拾い直しやすい点もメリットです。 - 場の流れが伝わりやすい
会話形式の議事録の場合、議論の流れや雰囲気がそのまま記録されるため、会議に参加できなかったメンバーでも内容をイメージしやすくなります。発言の順序やニュアンスなど、要点整理形式では議事録にまとめた際に失われる部分も、会話形式なら記録可能です。
2-2. 会話形式で議事録を書くデメリット
一方で、会話形式で議事録を書くデメリットは以下の通りです。
- 要点が伝わりにくい
会話形式の議事録は議論の流れを詳しく書く関係上、情報量が膨大になり、重要なポイントが埋もれてしまう可能性があります。特に、発言内容が複雑だったり長くなったりすると、読み手がすぐに必要な情報にたどり着けないことが多く、内容を簡潔に把握したい場合には不向きです。 - 文章の調整に時間がかかる
発言内容をそのまま記録するので、口語表現や曖昧な言い回しが含まれることが多く、後で読みやすく整理するために編集が必要です。特に、特定の背景知識が必要な内容が含まれる場合、第三者が分かるように補足を加えたり、言い回しを整えたりする作業が作成者に求められます。文章量が多くなる分、全体を見直す作業も増えるため、時間と労力がかかります。
3. 会話形式の議事録が向いているシーン
会話形式の議事録は、以下のようなシーンに向いています。
クロージングや契約交渉などの質疑応答があるシーン |
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会話形式の議事録は、質問と回答が時系列順に詳細に記録されるため、質疑応答がメインとなる会議や商談に向いています。例えば、クライアントとの商談における議論の流れをそのまま記録すれば、相手の細かい意図まで把握しやすくなり、顧客ニーズやインサイトの把握につながるでしょう。 |
プレゼンや初回商談など温度感が重要なシーン |
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会話形式で議事録を書くと、参加できなかったメンバーにも発言に込められた感情や温度感が伝わりやすくなります。クライアントの商談内容をまとめたり、プレゼンテーションを行ったりする際の現場の肌感覚を出席者だけでなく欠席者にも伝えたい場合、会話形式の議事録が効果的です。 |
プロジェクトの役割分担など認識ずれを減らしたいシーン |
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会話形式の議事録は誰が何を話したか残せるため、言った・言わないの認識ずれを減らせます。プロジェクトの進行における各メンバーの役割や意見を正確に資料として残しておかなければならないシーンでは、会話形式の議事録が要点整理形式の議事録より向きます。 |
4. 会話形式の議事録を書くときに注意したいポイント
会話形式の議事録は、できる限り正確に発言内容を残しつつ、後から読み返す際に読みやすく情報が整理されているのが理想です。会話形式の議事録を書くにあたっては、以下のようなポイントを押さえましょう。
4-1. 会議中の録音環境を整えておく
会話形式の議事録では、発言内容の正確な記録が求められるため、録音環境を整えることが大切です。会議中に発言者の声が聞き取りづらかったり、雑音が多かったりすると、後から発言内容を確認する際に支障が出ます。後から編集に多くの時間を要することにもつながるため、録音環境を事前に確認しておくのが大切です。文字起こしツールを使っている場合は、録音環境がよければ後で議事録を書き起こす際に起こされた内容をそのまま利用できるところが増えます。
特に、会議が長時間にわたる場合や参加人数が多い場合は、録音デバイスの性能や設置位置を工夫しましょう。事前にマイクテストをするのはもちろん、会議室の各席の音声がクリアに録音されるかどうかもチェックしてください。
また、会議に社外のメンバーが参加するときは、マナーとして事前に録音許可を必ず取っておくようにしましょう。録音内容を社外の方に共有する場合、機密情報が含まれる可能性もあるため、情報共有のルールを周知しておくのも重要です。
4-2. 発言者を記載する
会話形式の議事録は、名前や役職と発言内容を併記するのが基本です。ただし、毎回の発言に名前や役職を入れると、文字数がどうしても多くなり、見づらくなります。また、会話形式の議事録は情報量が多く、誰が何を発言しているのか混乱しやすい点に注意が必要です。
発言内容の視認性を高めるためにも、議事録を書く際には発言者の名前を強調表示し、記号を使って視覚的に区切るとよいでしょう。例えば、「田中は『~~~』と発言した」とするのではなく、「田中:~~~」のように書けば、分かりやすくなります。
また、発言者が初めて登場する際にはフルネームと役職を記載し、以降は名字のみを使うとスッキリした印象を与えます。初回は「田中太郎課長(以下、田中):」、2回目は「田中:」と記載するのがおすすめです。
加えて、同じ会議で複数の発言者がいる場合、発言順に記録するだけでなく、発言者リストを冒頭に設けることで、誰が参加しているかが一目で分かります。
4-3. 発言内容の要約を別途添える
同じ意見が続く場合や、結論が明確な場合には発言内容を残すだけでなく、別途要約や抜粋を記載すれば要点が把握でき、読みやすくなります。
また、会話の流れの中で、決定事項や重要な提案を強調するのも効果的です。重要な発言には「●」などの記号を付けたり、色分けをしたりすれば、内容のメリハリが付き、読み手が重要な情報にすぐにアクセスできます。
4-4. 専門用語や固有名詞・重要な数字について把握しておく
会話形式の議事録を作成する際には、事前に専門用語や固有名詞、および頻出する数字の意味について作成担当者が把握しておくのが大切です。特に、技術系の会議や、業界特有の用語が使われる会議では、専門用語が誤って記録されると内容の解釈が変わってしまうリスクがあります。
また、会話の際にはよく代名詞が使用される点にも注意が必要です。「この前の会議では」「あの製品は」などの発言をそのまま載せても、第三者には意味が伝わりません。「この前(〇月×日)の会議では」「あの製品(製品名:●●●)」など、代名詞には適宜具体的な補足を入れましょう。
まとめ
会話形式の議事録は意思決定に至るまでの経緯や、発言者の意図を記録に残せる一方、作業に時間がかかり、要点が埋もれやすく伝わりづらいデメリットがあります。事前に録音環境を整えておけば、文字起こしツールの精度も上がりやすくなり、作業時間を短縮可能です。
また、誰が何を発言したのかを追いかけられるのが会話形式の議事録のメリットなので、発言者リストを冒頭に設けたり、発言者の名前と発言内容を区切って書いたりしましょう。必要に応じて要約を追加する、専門用語や代名詞の補足を入れるといったコツも押さえれば、読みやすい議事録が作れます。

会議ラボ編集部
会議ラボのメンバーが執筆をしています。
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