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2024.08.26
会議の効率化に必要なルールの作り方|無駄をなくす仕組みを解説

企業にとって社内会議やミーティングは、重要な情報共有の場です。しかし、企業においては会議参加者が積極的に関与しない「報告だけの会議」や、何を目的に会議をしているのか不明瞭な「無駄な会議」もしばしば見られます。

非効率かつ何も得られない会議は時間の無駄遣いとなってしまうだけでなく、参加した社員の通常業務に支障をきたすおそれもあります。効率のよい会議を実施するための「運営ルール」を策定することが重要と言えるでしょう。

この記事では、効率的で無駄のない会議におけるルール作りの重要性から、段階別のルール例、有名企業が取り入れている会議ルール例まで分かりやすく紹介します。

1.効率的で無駄のない会議の場作りにルールが必要な理由

意味のある会議にするためには、ルール作りが大切です。会議の場でルールを作ることが欠かせない理由としては、下記が挙げられます。

●会議の効率を高めるため

会議時間が長引いたり、終始本来の議題と関係のない議論が続いたり、参加者が積極的に発言しなかったりする会議となるのを避けるためには、事前のルール作りと周知が必要です。事前にルールを策定し、それを周知することで、社員は目的を理解した上で会議に参加できるほか、議題に沿った深い議論ができるようになります。

●発言しやすい場にするため

攻撃的な意見が飛び交ったり、社員が出した意見を全否定したりするような会議では、活発なディスカッションを促せません。会議を有意義なものとするには、ファシリテーター(会議進行役)や議長だけでなく、参加者も積極的に意見を出し合うことが大切です。そのためには、言動に関するルールを設けて、参加者が気軽に発言できる環境をつくる必要があります。

1-1.Web会議の場合は特にルール作りが大切

Web会議(オンライン会議)を導入する場合は、特に「円滑に進めるための進行・発言に関するルール作り」が重要です。

Web会議では、従来の「関係者全員が会議室に集まって行う対面式の会議」と違って、画面を通してコミュニケーションを取ります。対面式のコミュニケーションと違い、小さな画面では得られる情報が少ないため、相手の表情や発言のタイミングがつかみにくい欠点があります。したがって、会議のルールがなければ、生産的な会議を進める難易度が高くなると言えます。

2.効率のよい会議のためのルール

効率的かつ生産的な会議を行うにあたっては、単純に会議全体のルールを定めるのではなく、事前準備・確認事項・会議中・会議後というように、項目・段階別にそれぞれグランドルールを定めていくことが大切です。

ここからは、効率のよい会議に向けて決めておきたいグランドルール例を、項目・段階別に詳しく紹介します。

2-1.事前準備のルール例

会議の開催が決定したら、まずは事前準備のルールを設定しましょう。事前準備に関する主なルール例としては、下記が挙げられます。

●事前にアジェンダとゴールを共有する

会議を行う前には、ファシリテーターがアジェンダ(議題)とゴール(目標)を設定します。設定したアジェンダとゴールを参加メンバーに共有することで、意思の統一を図れるだけでなく、会議の「WWH(なぜ・何を・どのようにして)」も明確になり、生産的な会議を行えるようになります。

●参加者は必要最小限に留める

基本的に、会議は参加人数が多いほど長引きやすくなるため、中核的な意思決定に関わる社員のみを参加者として選定しておきましょう。意思決定権がない社員や、コアとなる業務に関わらない社員を招待すると、我がこととして意見を出せず「ただ会議にいるだけ」になるおそれがあります。

●開始時刻と終了時刻を決めておく

効率よく会議を進めるためには、開始時刻と終了時刻をあらかじめ明確にしておくことも重要です。発表者が複数人存在する場合は、1人あたりの時間に加えて質疑応答時間も決めておきましょう。これらのタイムスケジュールは会議資料に記載するなどして、参加者に時間厳守を意識してもらうことも大切です。

2-2.確認事項のルール例

会議を有意義なものとするためには、社員がスムーズに会議に出席できる環境を整えたり、参加者に会議の内容や必要な準備をあらかじめ理解してもらったりする必要があります。下記2つの「確認事項のルール」を定めておきましょう。

●Web会議の場合は機材をチェックしておく

Web会議では、インターネット環境やデバイス、Web会議システムなどさまざまなものが必要となります。Web会議に不慣れな参加者がいる場合は、開始時刻に遅れたり会議中に接続トラブルが生じたりして、スムーズに進められなくなる可能性があります。

参加者が安心して会議に参加できるようにするためにも、あらかじめWeb会議に必要な機材を共有・チェックしておきましょう。

●資料は事前配布して目を通してもらう

ファシリテーターは、会議の開催を決定してから会議当日までの間に必ず会議資料を作成し、配布しておきましょう。会議資料には、アジェンダやゴール、時刻のほか、議論を進めるにあたって必要となる情報をすべて記載しておくことが大切です。

あらかじめ関連資料に目を通してもらうことで、参加者は会議に向けた準備ができるようになり、ディスカッションの活発化も期待できます。

2-3.会議中のルール例

会議中は、参加者に対して以下のような「発言や行動に関するルール」を設定するのが望ましいと言えます。

●否定的な意見を述べる場合は代案を伝える

自分が出したアイデアに対して否定的な意見のみを伝えられた参加者は、それ以降萎縮してしまい発言できなくなるおそれがあります。議論の沈静化を防ぎ、よりよいディスカッションにつなげるためにも、会議中は原則として「相手の意見を否定する場合は代案を提示する」というルールを設けましょう。

●発言は端的にする

遠回しな発言は周りの参加者に意図が伝わりにくく、質疑応答などで無駄に時間がかかってしまうおそれがあります。会議を効率よく進めるためには、「発言をする際は端的に、かつ結論ファーストにする」というルールの設定も重要です。発言や発表が苦手な社員を参加させる場合は、会議資料の配布とともにアイデア出しのサポートを行うのもよいでしょう。

●参加者全員が発言する

生産的な会議にするためには、参加者全員に発言してもらうというルールを定めることも大切です。しかし、「全員が必ずアイデアを出す」といった強制力のあるルールは、参加者の能動的な言動を阻害してしまう可能性もあります。そのため、ファシリテーターが率先して「参加者が発言しやすい状態」を作ることが最も重要です。

●会議の最後に必ず結論を出す

会議の最後には、参加者全員が分かるように議題と議論内容をまとめて結論を出しましょう。また、継続して行う定例会議の場合は、結論とともに次の会議の大まかな議論を伝えることも大切です。

2-4.会議後のルール例

会議の生産性を高めるには、会議が終わった後にもルールを設定することが不可欠です。下記に、会議後の主なルール例を紹介します。

●24時間以内に議事録を出す

参加者のアイデアを記録し、また、参加者以外にも会議の内容を伝えるために、会議後に議事録を提出するルールを作りましょう。時間が経つにつれて会議の内容を忘れてしまうおそれがあるため、24時間以内のタイムリミットを設けることをおすすめします。

●参加者のネクストアクションを伝える

会議は意思決定を行い、次の行動を決定する目的で開かれます。会議後は一人ひとりの参加者に対して、ネクストアクションを必ず伝えておきましょう。定例会議の場合は、各会議の最初に前回の振り返りを行いつつ、ネクストアクションが完了したかを都度チェックすることも大切です。

●会議後にフォローアップする

会議が終了した後は、議論の成果を行動に移すためのフォローアップも欠かせません。会議で何を決定したか、ネクストアクションとして何をするべきかを文面でも伝えるルールを策定しましょう。同時に、会議内容に不満点がなかったか、改善点はあるか、などのフィードバックを受ければ次回の会議をより円滑に運営できます。

3.有名企業が取り入れている会議ルールの例

日本の有名企業では、会議を効率的かつ生産的なものとするために、ユニークな会議ルールを豊富に取り入れています。下記は、Googleとトヨタにおける会議ルールの実例です。

●Google

Google社では、「会議は意思決定の場ではなく議論の場である」と考えています。これは、意思決定を伝えたり、調整したりするだけの会議は無意味であり、議論を戦わせて業務を改善して初めて生産的な会議になる、という思想です。したがって、Googleの会議では参加者全員に、事前に資料を読み込み、データに基づいて率直かつ客観的な意見を伝えることを求めます。

また、無意味な会議となることを避けるために、最上位の役職者から1人の意思決定者があらかじめ決められます。会議の主宰をも行う意思決定者は、参加者の選定から議題の決定、さらに内容のとりまとめや共有などを一括管理し、最終的な意思決定に責任を負う役職です。その上で、全参加者の見える場所にタイマーが置かれ、1回の会議は基本的に30分、最長でも50分以内で終わります。

●トヨタ

トヨタでは、「本音で語り合う」をモットーに、上座下座のない円卓を使用した会議を行っていることが特徴です。

トヨタの会議では、主催者は具体性の高いアジェンダを事前に参加者に必ず周知するよう義務付けられています。アジェンダを受け取った参加者は速やかに出すべきアウトプットに沿って、A4、もしくはA3の紙1枚に収まる量の資料を準備して会議に参加します。事前の根回しや調整、形式的に行うだけの「シャンシャン会議」はすべて無駄の原因として禁止です。

会議時間は30分と決められており、1回の会議では「次回までに自分たちは何をすべきか」「次回の会議では何を話し合うか」まで決定する不文律があります。

まとめ

有意義な会議を実施するためには、ルール作りが欠かせません。あらかじめルールを定めておくことで、会議の効率性を高められるだけでなく、ディスカッションの活発化にもつながります。特に、近年主流になりつつあるWeb会議において、ルール作りはより重要となるでしょう。

効率のよい会議に向けては、事前準備から会議後までの項目・段階別にルールを設定することが大切です。紹介した主なルール例に加えて、有名企業が取り入れているユニークな会議ルールも参考に、ぜひ有意義な会議の実施に取り組んでください。

会議ラボ編集部

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