すごい会議で会議を変えるやり方とは?会議の目的や注意点を解説
会議は会社組織で必要ですが、しばしば「時間の無駄」「やる意味がない」などのネガティブな意見が出るケースもあります。また、会議を行っても有効な意見が出なかったり、だらだらと時間を使ったりすると、生産性が低い時間になるでしょう。生産的で効率的な会議をするには、コーチングの考え方に基づいた「すごい会議」の導入がおすすめです。
この記事では会議でコーチングが必要な理由や、すごい会議で効率的な会議を行う方法について解説します。
1. そもそも会議を行う目的とは
会社組織では、複数名がそれぞれ違うプロジェクトに携わりながら仕事をしています。お互いの業務をフォローし、トラブルを回避するためにも、それぞれの業務状況を知っておく必要があります。そうした業務上必要な情報の共有や相談、意思決定の場として会議が行われます。
また、取引先や提携先など社外のメンバーとの調整や、新人向けの悩みごと相談の場としても会議は必要です。組織の中で働く場合、会議は避けて通れません。
しかし、会議を行うにあたって、時間の無駄に感じたり、意思決定が正しく進まなかったりするケースもあります。会議を無駄に感じてしまう理由としては以下が挙げられます。
- 目的がはっきりしていない
- 参加者が会議の議題を理解していない
- 何をするべきかを決められないで会議が終わっている
- 決まった時間に始まらず、終わらない
- 発言しにくい雰囲気がある
など
2. 会議でコーチングが必要な理由
現在行っている会議に課題を感じたなら、プロのコーチングを受けて改善するのが効率的な方法です。
会議の問題点として、会議時間の短縮や無駄の削減、会議参加者のモチベーション向上などを感じる会社も多いでしょう。会議を変える方法として、会議資料を作る、会議の目的を事前に共有する、会議の参加メンバーを厳選するなどが挙げられます。
しかし、課題解決のためにいざ実践しようと思うと、どこをどう変えてよいのか分からない会社も少なくありません。
会議ごとや会社ごとのケースに合わせて、会議運営のコツを学べるのが、会議コーチングを必要とする大きな理由です。会議に対する課題を効率的に改善していきたい場合は、プロのコーチングを受けるのが近道になります。
3. コーチングをベースとした「すごい会議」で会議を変える方法
「すごい会議」とは、生産性の高い会議を効率的に実施するためのメソッドのことです。1975年に、アメリカのマネージメントコーチであるハワード・ゴールドマン氏によって、コーチングの考え方をベースにすごい会議が開発されました。現在では、日本版に改良された手法を国内の多くの企業が導入しています。
すごい会議には、下記のように会議中のルールが定められています。
- 会議中の発言は、提案か質問のみに限られる。意見やコメントは発言してはならない
- 会議中は、発言したいことを必ず紙に書いて参加者に共有する
- 事実と考えを区分し、データなどの事実に基づいて話すことを意識する
すごい会議の手法に則って会議を実施することで、下記のメリットを受けられる可能性が高まります。
- 課題に正面から向き合い改善策を模索する思考が身につく
- 参加者の中で目標や方向性が正確に共有される
- それぞれの役割が明確化される
高い生産性をもたらすすごい会議は、ルールや仕組み、手順をしっかり理解したファシリテーターの存在が重要です。すごい会議についての知識を取り入れても、なかなか実践するイメージができないときは、プロのコーチングを受けると効率的に導入できます。
現在の会議にすごい会議を導入した際の、具体的なフレームワークを解説します。
3-1. 手元のポストイットに問題を書き出す
すごい会議では、まず手元のポストイットに問題を書き出すことから始めます。1枚のポストイットには、1つの問題を書くのが一般的です。
あらかじめ、問題の例文をいくつか書いておくと、参加者が意見を出しやすくなります。例えば、「今期の売上目標の進捗が思わしくない」などが挙げられます。問題を書いたポストイットは、ホワイトボードに貼るなどして参加者で共有できるようにしましょう。
意見を紙に書いて発表するメリットとして、時間短縮や意見をまとめやすいこと、他人の意見に左右されにくいことがあります。
3-2. 問題を理想に言い換えて書き直す
問題がある程度浮かび上がったら、それぞれの問題を「どうすれば理想的な状況になるか?」という形に言い換えていきます。
例えば、「今期の売上目標の進捗が思わしくない」は、「今期の売り上げ目標を達成するにはどうすればよいか?」と言い換えられるでしょう。難しい課題でも、「こうなったらいいのに」と言いかたを変えるだけで、新しい視点から考えやすくなります。
また、問題を言い換える際に、否定系の文章を肯定系に言い換えたり、「最高の」「1番」「驚くほど」などインパクトの大きい副詞を入れたりするのも意識してみましょう。例として、「過去最高の売り上げを達成する」や「日本で1番顧客から愛される企業になる」などが挙げられます。
3-3. 普段言えない「ひどい真実」を客観視点で書く
普段の会議では言えない「ひどい真実」を客観的な視点で書くのも、すごい会議では重要なフローです。例えば、「今月は2件の納期が守れなかった」などのひどい真実を、できるだけ定量的に書きましょう。
自分自身の主観的な意見を書いても問題ありませんが、その際には、必ず「○○と感じている」という伝えかたにしましょう。「評価システムが現在の体制に合っていないと感じている」などの言いかたになります。
通常の会議では言えないようなひどい真実から得る情報は、問題の本質を探るヒントとなることが多いものです。すごい会議は、ひどい真実から見えてくる重要度の高い組織の課題を見逃しません。
3-4. 問題とひどい真実の解決策を作る
問題とひどい真実が出揃ったら、それぞれの解決策について考えていきます。
具体的には、半年から1年後に問題やひどい真実を解決するにはどうすればよいか考えると、道筋が見えやすくなります。それぞれアイデアをポストイットに書いてもらい、ブレインストーミングを始めましょう。
ブレインストーミング中は思考の幅が広がるきっかけとなるため、現実的でないアイデアや遊び心のあるアイデアも拒否しないのが大切です。最後に、さまざまなアイデアの中から、最も実現できそうなものを決定し、参加者の前で達成することを約束します。
3-5. 担当分野を決める
課題やひどい真実に対する解決策に対して、担当分野を決めてそれぞれ推進します。
まず、問題解決の推進に必要な分野を紙に書き出し、話し合いながら6つほどに絞りましょう。それぞれの担当分野に最も適している担当者を任命し、誰が、いつまでに、何を担当するのかまで、具体的な行動を定めます。
課題解決のための担当分野を会議中に話し合うことで、参加者全員が自分の必要だと思う役割が含まれ、自分たちが作ったという当事者意識が生まれるメリットがあります。
3-6. 1か月以内に起こすべきアクションを決める
各々の担当分野が決まったら、会議から1か月以内に参加者が何をすべきかを定めます。
1か月以内という短いスパンで達成すべき目標・成果を決めることで、自分の役割に期待されることが明確化されます。それと同時に、参加者の前で自ら約束したという事実から、目標達成のための使命感が生まれるでしょう。
会議室退出後に、社員がアクションを起こしたくなるようなモチベーションを高めるポイントです。
4. すごい会議をするときの注意点
すごい会議をするときには、下記の2点に注意しましょう。
- ファシリテーターを用意し、必ずタイムキープをする
- 必ず紙に書いてから発表する形式にする
すごい会議に限らず、会議の現場においてファシリテーターの存在は重要です。参加メンバーの考えを引き出し、まとめて、結論に導く力が試されます。議論が白熱したり、無駄に長引いたりしているときに、タイムキープするのもファシリテーターの仕事です。
また、すごい会議の特徴として、意見は必ず紙に書いてから発表することが挙げられます。自分の意見を紙に書く時間を設ければ、考えを整理しやすくなります。加えて、紙に書いたものを同時に発表することで、途中で他人の意見に左右されたり、委縮したりせず意見を発表できます。さらに、意見を可視化して共有すると、効率的に結論を導きやすいのもメリットです。
まとめ
会議を正しく、効率的に行うことは企業全体を成長させるために必要です。会議を無駄に感じる場合、会議の目的などが正しく決まっていないなど会議運営自体に問題があるケースが多くあります。
コーチングをベースとしたすごい会議の導入によって、会議全体が効率的に進み、しっかりとした意思決定が可能になります。会議が終わった後も何をすべきかを参加者が理解でき、成果の出る会議運営ができるため、参加者の自発的な行動も促せるでしょう。
ただし、すごい会議にはルールや仕組み、手順をしっかり理解したファシリテーターが必要です。社内だけではどうしてもうまくいかない、具体的にどうすればいいのか分からない、などでお悩みの場合は、プロから指導を受けることも選択肢に入れてください。